コーヒーメーカーのエバシス社は KNF のソリューションを採用して完璧なミルクフォームを実現
KNF のサプライポンプとリターンポンプは、半導体産業において重要な役割を果たしています。キヤノンナノテクノロジーズ 社との緊密な協力により、KNF はこの業界の極端に高い要件求を満たすカスタムメイドのポンプを開発しました。イオン化しにくい特殊素材を使用することにより、超高純度な液体のハンドリングが可能で、メンテナンスが少なく、経済的運用が可能な、超クリーンなポンプを提供することができました。
マイクロエレクトロニクスの進歩には目覚ましいものがあります。数十年前のコンピュータは部屋全体を埋め尽くし、費用も莫大でしたが、今日では、計算能力にしてもスマートフォンやタブレットコンピュータなどの身近な家電製品のほうが上回っています。このような発達は、数多くの技術的進歩に基づいています。その中でも、半導体のダウンサイジングが重要であることは疑いの余地がありません。半導体産業において、キヤノンナノテクノロジーズ社は、高解像度で低所有コストなナノインプリントリソグラフィシステムを代表する市場リーダーであり、テクノロジーリーダーです。ここで、KNF のカスタムポンプが重要な役割を果たしています。
シリコンウェハーの塗布プロセス
その特殊なインプリントプロセスは、キヤノンナノテクノロジーズ社によって開発されました。このプロセスでは、多数の小さな液滴がシリコンウェハーの上に直接、精密に配置されます。この塗布プロセスは、インクジェット塗布方式と比較することができます。次のステップでは、透明なテンプレートが液体の上に直接配置されます。粘性の最適化により、液体がガラスの毛細管を満たし、それによって希望のパターンが作成されます。液体は紫外線によって硬化し、シリコンウェハー上に固まります。
半導体デバイス用の従来のリソグラフィプロセスと比較すると、このプロセスにはいくつかのメリットがあります。通常は、フォトレジストをウェハー上に塗布し、次にフォトマスクを使用して希望のパターンを作ります。しかし、従来のフォトマスクの使用では、製造されるナノ構造のサイズに対して光学的制限があります。これに加え、スピンコーティング法では、99% 以上のフォトレジストが剥がれてしまうので、多くの無駄が発生します。
標準的サプライポンプとリターンポンプでは十分ではない
キヤノンナノテクノロジーズ社のプロセスでは、スピンコーティングを排除し、慎重に制御された状態で多数の液滴を配置する方法を確立することによって、システム内で液体を移送するポンプが必要になります。液体のハンドリングには特別な注意が必要であり、プロセス全体が非常にクリーンな環境下で行われるため、このプロセスで使用されるコンポーネントには細心の注意を払う必要があります。このことは、特にポンプに当てはまります。そのプロセスでは、全部で数台のポンプが使用されます。液体を塗布ヘッドへ供給するサプライポンプと塗布ヘッドから回収するリターンポンプ、そしてリザーバタンクへ充填する充填ポンプとリザーバタンクから排出する排出ポンプ。
KNF ポンプを採用するまでは、キヤノンナノテクノロジーズ社では、PTFE 製の遠心ポンプが使用されていました。しかし、この遠心ポンプは高価なだけではなく、特定の性能要求を満たしていませんでした。そのため、キヤノンナノテクノロジーズ社は、現状に満足することなく、ニーズに合ったポンプシステムを開発してくれる信頼できるパートナーを探し求めていました。そしてついに、彼らが求めていたものが KNF にのるのを見つけたのです。これによって、両者の長期にわたる緊密な信頼関係がスタートしました。
最適なポンプ素材を求めて
最適なサプライポンプとリターンポンプを探しているうちに、ダイアフラムポンプがすぐに選択肢として浮かび上がりました。極めて信頼性が高く、最小限のメンテナンスで済むこのタイプのポンプは、非常に優しくクリーンに、そして安全に液体を移送します。それに加え、KNF のダイアフラムポンプは、プロセスに求められる、少なくても安定した流量を実現することができました。コンパクトな構造も大きなメリットでした。
KNF は、理想的なポンプ素材を探し始めました。最も重要なのは、素材が完全にイオンフリーであること。さらに、非常にクリーンであることです。というのも、20nm 以下の粒子でもパターンを壊してしまうおそれがあるからです。これらの厳しい要求により、選択肢は PCTFEに絞られました。しかし、この素材は、その特性こそ優れていましたが、KNF で標準的に使用される素材ではありませんでした。「新素材を選択する場合は、極めて慎重になります」と キヤノンナノテクノロジーズ社のセールス&マーコム部長 ポール・シェーバー は説明します。そのため、KNF は綿密な試験を行うためにキヤノンナノテクノロジーズ社に素材のサンプルを送り、最終的に新素材の承認を得ました。
モジュラーデザインによる迅速なカスタマイズ
KNF は、改良型ポンプヘッドに PCTFE を使用し、キヤノンナノテクノロジーズ社の要求を満たす最適なソリューションを開発しました。KNF のダイアフラム技術のノウハウに基づき、接液部も同様にイオン化が起きないようにしました。KNF は 1 つのサイズがすべてに適合するわけではないことを理解しています。当社のソリューションである独自のモジュラーデザインにより、個別の主要コンポーネントを組み合わせる形で各ポンプを作製することが可能になっています。KNF は、それぞれの特殊なアプリケーションに最も適したスマートなソリューションを提供するために、初期のアイデアから最終的な結果に至るまでの開発プロセス全体を通して、常にお客様と緊密に協力し取り組みます。
新しいサプライポンプとリターンポンプによる信頼性向上とコスト削減
カスタムメイドの KNF サプライポンプとリターンポンプは、以前使用していたポンプよりも優れていることがすぐに証明されました。このポンプは、清浄度と流量に関してより優れた性能を発揮することから、プロセスの信頼性を高め、それによって費用効率も改善しました。もう 1 つの大きなメリットは、この新しいポンプが以前の設計と同等の(あるいはそれ以上の)信頼性を有していることでした。このプロセスは非常にクリーンな条件下で行われるため、メンテナンスが難しく、時間と費用もかかるため、信頼性の改善は重要な要素です。「稼動時間を最大化することは、この装置の重要なメリットです。」とポール・シェーバー は生産要求についてまとめています。キヤノンナノテクノロジーズ社の顧客にとって、このメリットは所有コストの削減に直結します。
数多くの市場で主力メーカーと協力して成功を収めてきた長年の経験により、KNF はこのような最先端のアプリケーションに必要なコンポ-ネントを理解し、提供することができます。KNF のエキスパートが、お客様の特殊なアプリケーションに関するご質問に喜んでお答えいたします。お気軽にお問い合わせください。