KNFのポンプでISSにリサイクルエアを供給
スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHチューリッヒ)の研究者は、Smart Slab(スマートスラブ)建築プロジェクトの一環として、軽量でインテリジェントなコンクリートの天井を製作しています。使用するスラブ型枠の製造方法は革新的で、在ドイツ・フライブルクのフォクセルジェット社(Voxeljet AG)製3Dサンドプリンターを使用しており、この3DサンドプリンターにKNFポンプが搭載されています。
デジタル製造の利点
Smart Slabインテリジェント・シーリングは、コンクリート構造の強度と柔軟なデザインが可能な3D印刷という双方のメリットを組み合せて作られています。このデジタルな製造方法では、従来の天井建設よりも格段に費用効率が高く環境に優しい製造が可能です。Smart Slabは最薄わずか20ミリメートルで、その薄さでも安定性を損なうことはありません。つまりこれは、重量が従来の天井の50%未満となることを意味し、材料の消費を節減することができます。これにより、製造コストの削減となるだけでなく、二酸化炭素の排出量も減らすことができます。
プロジェクトのルーツ
Smart Slabは、スイス連邦工科大学チューリッヒ校デジタル建設技術学科の准教授であるベンジャミン・ディレンブルガー(Benjamin Dillenburger)の指導の下開発されました。これは、DFAB House(デジタルファブリケーション・ハウス)住宅ユニットの中核を成す要素の1つで、2018年夏からスイス・デューベンドルフのスイス連邦材料試験研究所(Empa)とスイス連邦水科学技術研究所(Eawag)の研究棟であるNESTに設置されています。地下室と上の2階建て木造構造をつなぐのは、コンクリートのセグメント11個から成るスラブ天井で、その面積は80平米、重さは15メートルトンです。
コンクリートはできる限り少なく
Smart Slab研究チームが3D印刷を利用して作るのは、建材そのものではなく、型枠(ネガティブ型枠)です。製作には、フォクセルジェット社製の大判3Dサンドプリンターが使用されました。そのプリンターには2つのKNF製液体用ダイアフラムポンプが使用されています。1つは冷接着剤の供給用(NF 60 KT DC)、もう1つは余分な原料の除去用(NF 60 KT DC)です。型枠の製作は、コンクリート工事において最も労働力のかかる部分で、非標準コンポーネントの場合に特に顕著です。
ボタンをひと押しで
コンピューターでのプランニング完了後は、Smart Slab研究チームのパートナー企業の出番です。1社が高解像度の3D砂圧型枠を、その間もう1社がCNCレーザーカッターを使って木製の型枠を作成しました。これを使って、へこみのあるSmart Slabの形状が形作られていきます。このへこみが、使用する材料と重さを減らすことに繋がり、また、電気ケーブルを通すスペースとなります。その後この2種類の型枠は、コンクリートを扱う第3のパートナー企業へ運び込まれ、まず砂圧型枠に繊維強化コンクリートを注入して、コンクリートシェル構造下部の細かいリブのついた表面を、その後木製型枠でその他の部分が作られました。
しっかりとした事前計画がもたらした納得の結果
このようにして形作られたコンクリートセグメント全11個は、2週間養生させた後、DFAB Houseに輸送されました。綿密な計画と仮製作による準備、そして専門パートナーと信頼の技術を使った実践により、プロジェクトは遅れることなく無事完了しました。ディレンブルガーは、「建設現場で私たちが作った建材が継ぎ目なく組み合わされていき、その他のDFAB Houseの建材と繋がっていく様を見るのは圧巻でした」と感想を述べ、「これは、パートナー企業との素晴らしい協力なくしては実現不可能でした。」と語りました。